ICL Q&A

人気急上昇の「ICL」と定番「レーシック」、どちらを選ぶべきか迷っています

最近、近視や乱視の患者さんに「先生はICLとレーシック、どちらがおすすめですか?」と聞かれることが増えました。
「テレビやSNSで『ICL手術を受ければ眼鏡やコンタクトレンズがいらなくなる』と話題になっているけれど、そういうものなら、以前からレーシックがありますよね?」といわれる方もいらっしゃいます。
今回はそのような疑問を感じている方のために、ICL手術とレーシック手術の違いについてお話ししましょう。

角膜をレーザーで削るレーシック手術

ICL手術とレーシック手術は、どちらも「屈折矯正手術」に含まれるものです。
ちなみに近視・遠視・乱視は、医学的には「屈折異常」と呼びます。
それら屈折異常を矯正し、正視(焦点が網膜で像を結ぶ眼)の状態に近づけて、裸眼視力を回復させるための手術が屈折矯正手術です。

屈折矯正手術にはほかにもいくつかの種類がありますが、現在、国内で一般的に行われているのはICL手術とレーシック手術です。
なかでも「レーシックのほうに聞き覚えがある」という人は多いのではないでしょうか。

「レーシック(LASIK、エキシマレーザー屈折矯正手術)」は、レーザーを照射して角膜の表面を削り、眼のレンズである角膜のカーブを調整して屈折異常を矯正します。
たとえば、近視ならカーブをゆるやかにして角膜の屈折力を弱め、遠視は反対にカーブが急になるように削ります。
乱視の眼は焦点が1か所に集まっていないので、矯正するために描くカーブはやや複雑です。

いずれにしても、成人の標準的な角膜の厚さは中心部が約0.5mm、周縁部が約0.7mm程度。
それを削るのはとても微細は作業のように思われるでしょうが、ほとんどの工程はコンピューター制御のレーザー機器が行います。
執刀医に求められる技術や専門知識という意味では、さほど難しい手術の部類には入りません。

ICLより手術費用がリーズナブル

レーシック手術の大きな長所は、手術にかかる費用が低めなこと。
公的医療保険が適応されない自由診療(自費)のため料金設定は医療機関によってまちまちですが、平均して片眼30万円、両眼で60万円前後のところが多く、なかには片眼10万円を切るプランを組んでいる場合もあります。
また、ICLより早い時期に広く普及したため、手術を行っている医療機関の数が多いことも長所です。
都市部に限らず全国各地で、レーシック手術が受けられる病院やクリニックを見つけやすいでしょう。
ただし破格の手術代を謳っているところや、「簡単・スピーディー」などと手軽さだけをアピールしているところは、あまりおすすめできません。
安全な手術をするには前後に十分な検査が必要で、料金は技術や機器装置、労力、時間などを総合して相応に設定するものだからです。

レーシック手術の標準的な術前・術中・術後の流れは、次のとおりです。
患者さんはまず「適応検査」を受け、適応と判断されたら手術を申し込み、手術のために必要なデータを測定する精密な「術前検査」を経て、その結果や体調に問題がなければ「手術日」を迎えます。
手術そのものは両眼約30分で終了しますが、術前の準備(点眼麻酔や消毒など)や術後の安静時間を含めると3~4時間はかかることになります。
術中・術後は眼が少しゴロゴロするような違和感があっても、痛みはほとんどありません。
手術当日は保護用のメガネをかけて帰宅します。
抗炎症剤などの点眼薬が処方されますので、医師が「もう大丈夫ですね」というまで使用してください。
翌日に検査と診察を受け、その後は3日後、1週間後、1ヵ月後、3ヵ月後と検診が続きます。
面倒に感じる部分があるかもしれませんが、眼の健康とせっかく回復させた視力を守るためには重要なことばかりです。

レーシック手術を受けられるのは、こんな人

レーシックには手術を受けられるか受けられないか、患者さんの眼の形状や屈折異常の度合いなどで判断する適応基準があります。
日本眼科学会作成の「屈折矯正手術のガイドライン」を参考に、手術を受けられる条件をご説明しましょう。

◆18歳以上で、屈折度が安定している屈折異常(近視・遠視・乱視)の人

眼球は18歳ごろまで発育するため、屈折度が安定していません。
成人後も近視の度数が急に強くなったりする時期があります。
そのようなときに手術しても術後にまた変化してしまうかもしれませんので、1年程度は視力が安定していることが重要です。
またガイドラインは年齢の上限を明記していませんが、一般的にはICL手術と同じく、老眼が始まるまでにしたほうが賢明です。レーシック手術では老眼を治せませんので、症状が強い場合は眼鏡を使用することになります。

◆近視は-6Dまでを原則に、場合によっては-10Dまで受けられる。遠視は6D、乱視は-6Dまで

近視は弱度近視(-3D未満)・中等度近視(-3D以上、-6D未満)・強度近視(-6D以上)」に分かれます。
レーシック手術は原則として弱度近視と中等度近視の人が対象であり、それより強い近視の場合は十分なインフォームド・コンセントを行ったうえでの実施となります。
なお、視力検査などで使われる「1.2」「0.5」といった数値は裸眼視力を示しますが、眼科では「D(ディオプター)」という眼の屈折力やレンズの屈折度を表す単位を使用します。
眼鏡のレンズやコンタクトレンズのパッケージにも表示されていますので、ご自分の屈折力を知りたいときはそれをご覧ください。

◆角膜に十分な厚みがある

角膜が薄い場合、安全に削り取ることのできる量が制限されます。
削った量が多すぎると角膜の機能が損なわれ、見え方の質が悪くなる危険性もあります。

◆円錐角膜・緑内障・白内障・ドライアイなどの眼疾患がない

◆妊娠中または授乳中でない

◆重症の糖尿病やアトピー性疾患を患っていない

レーシック手術の件数が激減した理由は?

レーシックは1990年にギリシャ共和国の医師が開発し、日本では2000年1月にエキシマレーザーの使用が認可されて手術を実施できるようになりました。
開始した年に約2万件、2006年に約12万件と手術件数は増加しましたが、2008年の約45万件をピークにその後は減少。現在は10分の1にも満たない数字で推移しています。

なぜレーシック手術を受ける人がこれほど減ったのでしょうか。
「2008年9月のリーマンショックで不景気になったから」「美容外科など眼科以外の医療機関が大量に参入し、価格競争が始まって治療の質を一定に保てなかったから」「コンタクトレンズの性能がよくなって不自由を感じる人が減ったから」などいろいろな理由が挙げられていますが、最も大きな影を落としたのは「レーシック集団感染事件」の発生でしょう。
2008年7月から約半年の間に、都内のある眼科クリニックでレーシック手術を受けた患者さん639人のうち67人が角膜感染症にかかったのです。

被害者の皆さんには大変お気の毒でしたが、この事件は、当該クリニックの経営効率を重視したずさんな衛生管理に原因がありました。
手術自体の有効性や安全性は世界的に認められているにもかかわらず、「レーシック=危ない手術」という誤ったイメージが広まってしまったのは残念なことです。
しかし実施医療機関に対するガイドラインの周知徹底など、誰もが正しく安全な治療を受けられるよう改善が重ねられ、現在でも国内で最も多く行われている屈折矯正手術はレーシック手術となっています。

眼内にレンズを挿入するICL手術

一方のICL(Implantable Contact Lens)は、直訳すれば「(眼内に)移植することのできるコンタクトレンズ」です。日本では「眼内コンタクトレンズ」「有水晶体眼内後房レンズ」「後房型フェイキックIOL」とも呼ばれています。
もう少し詳しく説明すると、屈折矯正手術のグループのなかに「有水晶体眼内レンズ挿入術(フェイキックIOL手術)」というものがあり、そのうちの1種類がICL手術です。
眼の角膜と虹彩の間を「前房」、虹彩と水晶体の間を「後房」といいますが、ICLは虹彩と水晶体の間に挿入するタイプの眼内レンズなのです。

ICLはソフトコンタクトレンズのように柔らかい「コラマー」という素材でできていて、折りたためるほどしなやかなので割れることがありません。
眼内で経年変化することもなく、一度入れたら半永久的に使えるうえ、コラマーが有害な紫外線をカットしてくれます。

また万が一、術後に不具合が生じたり、満足できない結果になったりした場合は、レンズを取り出して元の状態に戻すこともできます。
そのような事態はほとんど起きませんが、この「可逆性」はICL手術の大きな特徴です。
削った角膜を元に戻せない不可逆的なレーシック手術に比べ、もしものとき取り返しがつくことは患者さんの安心感にもつながります。
術後に得られるものの見え方も、角膜を削って加工するレーシック手術より、ICL手術のほうがクリアで質の良い見え方になります。

実際にICL手術を受ける際のプロセスは、まず適応検査を受けて手術が可能な状態かどうかを調べます。
適応の結果が出て手術することを決めたら術前検査を行い、その後は手術当日を迎えるまではレーシック手術と同様です。
当日は片眼10分、両眼で20分前後の手術時間に加え、術前の準備時間や術後の安静時間を入れて計3~4時間は院内にとどまることになります。
手術は点眼麻酔をした眼の角膜に3mmほどの切開部をつくり、そこから虹彩と水晶体の間にIOLレンズを挿入します。
切開部は自然に治癒するので縫合や抜糸などは必要ありません。
痛みもほとんどの人は感じることなく、あっても術後の眼に異物感を覚える程度です。
帰宅時は保護用メガネをかけて眼を守り、処方された点眼薬をしばらく使用します。
検診は手術翌日、3日後、1週間後、1か月後、3か月後と徐々に期間をあけながら経過を観察します。

ICL手術を受けられるのは、こんな人

このようにICL手術はさまざまな積み重ねや改良が功を奏し、最先端の屈折矯正法として注目を集める存在になりました。
それでも残念ながら、すべての人に適応するわけではありません。
次の項目をクリアできるかどうか、わかる範囲で確かめてみてください。

1.18歳以上で、屈折度が安定している屈折異常(近視・遠視・乱視)の人。また老眼が始まる年齢に到達している場合は、慎重に考慮する

老眼は早い人で40歳ごろから始まります。
近視や乱視などの屈折異常とは異なり、水晶体やその周辺の毛様体筋という組織が硬くなってうまくピント調節ができなくなった状態です。
そのためICL手術をしても老眼を治したり、進行を抑えたりすることはできません。
しかしごく最近、遠近両用レンズのメカニズムで老眼にも対応するタイプのICLレンズが開発されました。
どのような効果をもたらしてくれるのか、臨床例の蓄積が待たれるところです。

2.近視は-6D以上が原則。-3D以上で-6D未満の中等度近視、-15Dを超える強度近視の場合は慎重に行う。乱視は5Dまで適応。遠視のICLレンズは国内未認可なので使用する際は注意が必要

3.緑内障・白内障・角膜内皮障害などの眼疾患がない

4.妊娠中または授乳中でない

ICL手術は費用が高め

こうしてICL手術とレーシック手術を比較してみて、ご感想はいかがでしょうか。
今までレーシック手術の陰に隠れていたICL手術の存在が、ここ数年で急速に注目を集めるようになった理由がおわかりいただけたのではないかと思います。
少なくとも現時点で有効性や安全性を比較した場合、眼科専門医としてより確信をもっておすすめできるのはICL手術です。

ただ、ICL手術がよいとわかっていても、高額な費用がネックとなって選択を迷う人も多いようです。
レーシック手術の料金が両眼30万円前後なのに対し、ICL手術は片眼30万~40万円、両眼で60~80万円とが目安。
公的医療保険対象外の自由診療なので全額自己負担です。

しかし使い捨てタイプのソフトコンタクトレンズ1か月分が4,000円だったとして、毎日使うと1年で4万8000円、10年で48万円、20年で96万円となります。
20~30歳代の若い世代を中心にICL手術の人気が広がっているのも、長期間の使用によるコストパフォーマンスの高さを理解したうえでのことでしょう。

まとめ

レーシック手術は削った角膜を元に戻せませんが、比較的安い費用で近視・遠視・乱視を矯正できます。
ただしレーシック手術を実施している医療機関は“ピンからキリまで”。衛生管理や術後ケアをおろそかにしていると感じたら別の選択を。
ICL手術はイザというとき元に戻せる可逆的手術。
ICL認定の眼科専門医のみが行うため安心して任せられますが、レーシックより高額。
コストパフォーマンスも考えて選択しましょう。

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